呻吟語 / 外篇・世運・世の人與に言ひ難し
世人賤老,而聖王尊之;世人棄愚,而君子取之;世人恥貧,而高士清之;世人厭淡,而智者味之;世人惡冷,而幽人寶之;世人薄素,而有道者尚之。悲夫!世之人難與言矣。
新字:世人賤老,而聖王尊之;世人棄愚,而君子取之;世人恥貧,而高士清之;世人厭淡,而智者味之;世人悪冷,而幽人宝之;世人薄素,而有道者尚之。悲夫!世之人難与言矣。
書き下し
世人は老を賤しむも、聖王は之を尊ぶ。世人は愚を棄つるも、君子は之を取る。世人は貧を恥づるも、高士は之を清しとす。世人は淡を厭ふも、智者は之を味はふ。世人は冷を惡むも、幽人は之を寶とす。世人は素を薄しとするも、有道者は之を尚ぶ。悲しいかな、世の人は與に言ひ難し。
現代語訳
世の人は老いを賤しみますが、聖王はこれを尊びます。世の人は愚かさを捨てますが、君子はこれを取ります。世の人は貧しさを恥じますが、高い士はこれを清らかとします。世の人は淡さを厭いますが、智者はこれを味わいます。世の人は冷たさを憎みますが、隠れ住む人はこれを宝とします。世の人は素朴さを薄いとしますが、道ある人はこれを尊びます。悲しいことです。世の人とは語り合いにくいものです。
解説
世間が退けるもの六つを挙げ、それぞれを尊ぶ人がいると並べます。老、愚、貧、淡、冷、素。どれもこの書が繰り返し価値を認めてきたものばかりです。評価が世間と正反対であることを六つ並べて示したうえで、語り合いにくいと嘆きます。孤立を自覚したうえでの、静かな表明になっています。孤立を自覚したうえでの、静かな表明になっています。
この章句が説くこと
逆転価値世間孤立六つ
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