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言志四録 / 言志耋録 第二百二十九条 死して死せず

凡古器物。古書畫。古兵器。皆傳存於今。人則世無百歲人。莫如撰著以遺諸後。此則死而不死。

新字:凡古器物。古書画。古兵器。皆伝存於今。人則世無百歳人。莫如撰著以遺諸後。此則死而不死。

書き下し

凡そ古器物・古書画・古兵器は、皆伝はりて今に存す。人は則ち世に百歳の人無し。撰著して以て諸を後に遺すに如くは莫し。此れ則ち死して死せず。

現代語訳

およそ古い器物、古い書画、古い武器は、みな伝わって今に残っている。ところが人間はというと、世に百歳まで生きる者はいない。書物を著して後世に遺すにこしたことはない。これこそ、死んでも死なないということである。

解説

前条を受けて、不朽を実現する具体的な手段として著述を挙げた一条です。古い器物や書画や刀剣は何百年も伝わるのに、人は百歳まで生きられない。だから書物を著して後世に遺すのが一番よい、それが「死して死せず」だと一斎は言います。言志四録そのものが、四十二歳から八十過ぎまで書きためられた、まさにこの考えの実践でした。次条では、著書は心を伝えるものだからこそ慎重であれと続け、単純な著述礼賛にはしていません。自分の経験や知見を、口伝えや記憶だけでなく形にして残しているか。組織の中で知識をどう引き継ぐかを考える手がかりにもなります。

この章句が説くこと

著述不朽継承死生記録

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