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言志四録 / 言志耋録 第三百三十五条 長生久視は道ふに足らず

人身氣脈。與潮進退。與月盈縮。則死生固有定數。但養生以全所享之數。斯爲得。長生久視。不足道耳。

新字:人身気脈。与潮進退。与月盈縮。則死生固有定数。但養生以全所享之数。斯為得。長生久視。不足道耳。

書き下し

人身の気脈は、潮と進退し、月と盈縮す。則ち死生固より定数有り。但だ生を養ひて以て享くる所の数を全うせば、斯れ得たりと為す。長生久視は道ふに足らざるのみ。

現代語訳

人の体の気や脈は、潮の満ち引きとともに進んだり退いたりし、月の満ち欠けとともに満ちたり縮んだりする。とすれば、生死にはもともと定まった数がある。ただ養生して天から授かった寿命を全うできれば、それで十分である。不老長寿などというものは、言うに足りない。

解説

人の気脈は潮の満ち引きや月の満ち欠けと連動しており、生死にもともと定まった数があると説く一条です。天地の運行と人の体を一つながりに見る発想で、『言志録』巻頭の、万事に前定の数があるという考えがここでも貫かれています。だから養生の目的は、授かった寿命を全うすることにあり、それ以上の長生久視、つまり不老長寿を求めるのは論ずるに足りないと言います。「長生久視」は『老子』にある言葉で、道家や神仙家の長生術を念頭に置いた批判でしょう。限りを受け入れたうえで、与えられた範囲を十全に生かすという構えは、資源や時間の制約の中で働く人にも通じる考え方です。

この章句が説くこと

死生定数養生天命

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