言志四録 / 言志耋録 第百九十七条 寡言者未だ必ずしも徳有らず
有德者寡言。寡言者未必有德。有才者多言。多言者未必有才。
新字:有徳者寡言。寡言者未必有徳。有才者多言。多言者未必有才。
書き下し
徳有る者は言寡し。言寡き者は未だ必ずしも徳有らず。才有る者は言多し。言多き者は未だ必ずしも才有らず。
現代語訳
徳のある人は口数が少ない。しかし口数の少ない人が必ずしも徳があるとは限らない。才のある人は口数が多い。しかし口数の多い人が必ずしも才があるとは限らない。
解説
『論語』憲問篇の「徳有る者は必ず言有り、言有る者は必ずしも徳有らず」の形を借りながら、内容をひねった条です。徳のある人は言葉少なく、才のある人は雄弁である。しかしその逆は成り立たない。無口だから徳があるとも、弁が立つから有能だとも言えません。一斎は、言葉の量という外から見える特徴だけで人を判断する危うさを、論理の形で鮮やかに示しています。「似て非なる者」の条や「有りて無き者」の条とも同じ関心に立っています。寡黙な人を思慮深いと決めつけたり、プレゼンのうまい人を実力者と見なしたりしがちな評価の癖を、自覚するための手がかりになるでしょう。
この章句が説くこと
徳才寡言人を見る目言語
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