言志四録 / 言志耋録 第百九十三条 言を察して色を観る
多言之人浮躁。或枉人。寡默之人難測。或探人。故察其言而觀其色。交際之要也。
新字:多言之人浮躁。或枉人。寡黙之人難測。或探人。故察其言而観其色。交際之要也。
書き下し
多言の人は浮躁にして、或は人を枉ぐ。寡黙の人は測り難くして、或は人を探る。故に其の言を察して其の色を観るは、交際の要なり。
現代語訳
口数の多い人は浮ついて落ち着きがなく、ときに人のことを歪めて言う。口数の少ない人は心が推し量りにくく、ときにこちらの様子を探っている。だから、その言葉をよく察し、その顔色を観ることが、人付き合いの要点である。
解説
多弁の人と寡黙の人、それぞれに注意すべき点を挙げた条です。よく話す人は軽躁になりやすく、話を盛ったり人を悪く言ったりして事実を曲げることがある。黙っている人は何を考えているか分かりにくく、実はこちらを観察していることがある。どちらも言葉を額面どおりに受け取っては誤ります。そこで一斎は『論語』顔淵篇の「言を察して色を観る」を引き、言葉とともに表情や態度を見よと言います。前の「眸子を観る」の条とも通じる観察法です。同時に、こちらが多弁なら相手から浮ついて見え、寡黙なら探られていると受け取られる、という自戒も含んでいるでしょう。交渉や面談で相手の言外を読む心得になります。
この章句が説くこと
人を見る目交際察言観色言語
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