言志四録 / 言志耋録 第百九十一条 人の言を聴くは多きを厭はず
聽人言。則不厭多。無賢不肖。皆有資益。自言則勿多。多則有口過。又或誤人。
新字:聴人言。則不厭多。無賢不肖。皆有資益。自言則勿多。多則有口過。又或誤人。
書き下し
人の言を聴くは、則ち多きを厭はず。賢不肖と無く、皆資益有り。自ら言ふは則ち多くすること勿れ。多ければ則ち口過有り。又或は人を誤る。
現代語訳
人の話を聞くのは、多いことを嫌わない。相手が賢い人でも愚かな人でも、みな自分の役に立つところがある。自分が話すのは多くしてはならない。多く話せば失言があり、また人を誤らせることもある。
解説
ここから言葉をめぐる条が続きます。一斎は聞くことと話すことを非対称に扱います。聞くことはいくら多くてもよい。賢者の言葉からは学び、愚者の言葉からは戒めを得られるからです。前の「一話一言も徒らに聞く勿れ」や「芻蕘に詢る」とも響き合います。一方、話すことは少ないほうがよい。多弁は失言を生み、また不確かなことを語って人を誤った方向に導くおそれもあります。「口過」は言葉による過ちのことです。耳は二つ口は一つという俗諺にも通じる、分かりやすい教えです。立場が上がるほど話す機会が増え、聞く機会が減るものです。その逆を意識できているかを振り返る材料になります。
この章句が説くこと
傾聴寡言口過言語
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