人物志 / 材理
凡人心有所思,則耳且不能聽,是故並思俱說,競相制止,欲人之聽己。
新字:凡人心有所思,則耳且不能聴,是故並思俱説,競相制止,欲人之聴己。
書き下し
凡そ人の心に思う所有れば、則ち耳且つ聴く能わず。是の故に並びに思い俱に説き、競いて相制止し、人の己を聴かんことを欲す。
現代語訳
そもそも人は、心の中で何かを考え込んでいるとき、耳が相手の話を聞き取れなくなるものである。それゆえ、皆が同時に自分の考えを述べようとし、互いに相手を制止し合いながら、自分の話を聞いてもらおうとするのである。
解説
自分の考えに気を取られていると、相手の話が耳に入らなくなるのは誰にでも起こる普遍的な現象である。会議で複数の人が同時に話し始めたり、相手の発言中に次に言うことばかり考えていたりする光景は、まさにこの状態を映し出している。誰もが自分の話を聞いてほしいと思うあまり、結果として誰も相手の話を聞いていないという皮肉な状況が生まれる。議論を前に進めたいときほど、まず自分の思考をいったん脇に置き、相手の言葉に耳を傾ける余白を作れるかが問われる。
この章句が説くこと
傾聴思考の占有対話のすれ違い
関連する章句
-
老子 第56章知る者は言わず、言う者は知らず。兌を塞ぎ門を閉じ、鋭を挫き紛を解き、光を和し塵に同ず。
-
言志四録・南洲手抄独得の見は私に似る、人其の驟至に驚く。平凡の議は公に似る、世其の狃聞に安んず。凡そ人の言を聴くは、宜しく虚懐にして之を邀ふべし。狃聞に苟安することなくんば可なり。
-
『韓非子』揚權第八凡そ聴の道は、溶として甚だ酔うが若し。...彼自ら之を離し、吾、因りて以て之を知る。
-
論語 郷党篇人を堂に見るに、疾言、倦色を見せず。
-
論語 為政篇孟懿子が孝について尋ねた。孔子は「逆らわないことだ」と答えた。さらに説明して、「親が生きている間は礼をもって仕え、亡くなった後は礼をもって葬り、礼をもって祭ることだ」と言った。
-
論語 述而篇子、有喪者の側に食す。いまだ嘗て飽くこと無し。