人物志 / 材理
凡人心有所思,則耳且不能聽,是故並思俱說,競相制止,欲人之聽己。
新字:凡人心有所思,則耳且不能聴,是故並思倶説,競相制止,欲人之聴己。
書き下し
凡そ人の心に思う所有れば、則ち耳且つ聴く能わず。是の故に並びに思い俱に説き、競いて相制止し、人の己を聴かんことを欲す。
現代語訳
そもそも人は、心の中で何かを考え込んでいるとき、耳が相手の話を聞き取れなくなるものである。それゆえ、皆が同時に自分の考えを述べようとし、互いに相手を制止し合いながら、自分の話を聞いてもらおうとするのである。
解説
自分の考えに気を取られていると、相手の話が耳に入らなくなるのは誰にでも起こる普遍的な現象である。会議で複数の人が同時に話し始めたり、相手の発言中に次に言うことばかり考えていたりする光景は、まさにこの状態を映し出している。誰もが自分の話を聞いてほしいと思うあまり、結果として誰も相手の話を聞いていないという皮肉な状況が生まれる。議論を前に進めたいときほど、まず自分の思考をいったん脇に置き、相手の言葉に耳を傾ける余白を作れるかが問われる。
この章句が説くこと
傾聴思考の占有対話のすれ違い
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