言志四録 / 言志耋録 第百八十三条 棄つべきの人無し
人各有所長。有恰好職掌。苟當其才。則無可棄之人。牛溲。馬勃。敗鼓之皮。最妙論。
新字:人各有所長。有恰好職掌。苟当其才。則無可棄之人。牛溲。馬勃。敗鼓之皮。最妙論。
書き下し
人各長ずる所有り、恰好の職掌有り。苟くも其の才に当たれば、則ち棄つべきの人無し。牛溲・馬勃・敗鼓の皮は、最も妙論なり。
現代語訳
人にはそれぞれ長所があり、ちょうどふさわしい職務がある。もしその才能に見合った役に当てれば、捨ててよい人などいない。(韓愈が『進学解』で、良医は)牛の小便、馬勃(きのこの一種)、破れた太鼓の皮まで薬として蓄えると言ったのは、実に見事な議論である。
解説
適材適所を説いた条です。「牛溲・馬勃・敗鼓の皮」は、唐の韓愈が『進学解』で、名医は牛の小便や馬勃(ほこりたけ)、破れた太鼓の皮のようなつまらない物まで薬として集めておき、必要な時に使うと書いた一節から取られています。どんな人にも長所があり、それが生きる持ち場さえ見つかれば、不要な人などいない。一斎はこの比喩を「最も妙論」と称えます。人を見る目についての一連の条の中で、見抜いた後にどう用いるかへ話が進んでいる点が大切です。組織を率いる人にとっては、成果の出ない人を切る前に、その人の長所が生きる役割を本当に探したかを問い直す材料になるでしょう。
この章句が説くこと
適材適所人材活用長所用人
関連する章句
-
『韓非子』八姦第九賢を官にするには其の能を量り、禄を賦するには其の功に稱わす。
-
『韓非子』外儲說左下第三十三霸王たらんと將欲せば、夷吾此に在り。
-
論語・雍也篇季康子問う、「仲由は政に従わしむ可きか。」子曰く、「由や果、政に従うに於いて何か有らん。」曰く、「賜は政に従わしむ可きか。」曰く、「賜や達、政に従うに於いて何か有らん。」曰く、「求は政に従わしむ可きか。」曰く、「求や芸、政に従うに於いて何か有らん。」
-
『韓非子』揚權第八之を行ひて已まざる、是を理を履むと謂ふなり。夫れ物には宜しき所有り、材には施す所有り、各々其の宜しきに處る、故に上に爲す無し。雞をして夜を司らしめ、狸をして鼠を執らしむ。皆其の能を用ふれば、上乃ち事無し。
-
『韓非子』觀行第二十四故に明主は烏獲を窮むるに、其の自ら舉ぐる能わざるを以てせず。離朱を困むるに、其の自ら見る能わざるを以てせず。可勢に因りて、易道を求む。
-
『韓非子』説疑第四十四聖王明君は則ち然らず、内挙は親を避けず、外挙は讎を避けず。是焉に在れば、従ひて之を挙げ、非焉に在れば、
人生の答えは、ぜんぶ古典に書いてあった。
古典の入門書『人生の教科書』(PDF)と、師導の全機能1か月がセットで700円。二十四の悩みに、論語・老子・孫子から徒然草・五輪書までが答えます。
本の中身を見る