言志四録 / 言志耋録 第百七十三条 旧恩の人は疎遠にすべからず
舊恩人。不可疏遠。新知人。不可過狎。
新字:旧恩人。不可疏遠。新知人。不可過狎。
書き下し
旧恩の人は、疎遠にすべからず。新知の人は、過狎すべからず。
現代語訳
昔から恩を受けている人とは、疎遠になってはならない。新しく知り合った人とは、なれなれしくしすぎてはならない。
解説
前条の「往事を忘れず」を、具体的な人付き合いの心得に落とした条です。古くからの恩人とは、会う機会が減ったり自分の立場が変わったりすると自然に遠ざかりがちです。一方、新しく知り合った人とは、気が合うとすぐに打ち解けすぎてしまいます。一斎は、古い縁には意識して手を伸ばし、新しい縁には一歩引いて節度を保てと言います。人間関係の距離感を、時間の長さと反対向きに調整せよという教えとも読めます。新しい取引先や部下との関係を急いで近づけすぎず、長年支えてくれた人への連絡を絶やさない。その均衡が、人脈を長持ちさせる工夫になりそうです。
この章句が説くこと
旧恩交際節度距離感人間関係
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