言志四録 / 言志耋録 第百六十九条 恵を受けては忘るべからず
我施恩於人。可忘。我受惠於人。不可忘。
新字:我施恩於人。可忘。我受恵於人。不可忘。
書き下し
我恩を人に施すは、忘るべし。我恵を人に受くるは、忘るべからず。
現代語訳
自分が人に施した恩は、忘れるのがよい。自分が人から受けた恵みは、忘れてはならない。
解説
与えた恩は忘れ、受けた恩は忘れるな、という対句の一条です。『菜根譚』にも「我人に功有らば念ふべからず、……人我に恩有らば忘るべからず」とあり、古くから言われてきた処世の心得です。人に施したことを覚えていると、いつの間にか見返りを期待したり、恩着せがましい態度が出たりする。反対に、受けた恩を忘れると、感謝を欠いた薄情な人になる。人は放っておけば、自分のしたことはよく覚えていて、してもらったことは忘れがちです。一斎はその自然な傾きを逆にせよと言っているのでしょう。部下や取引先との関係で、自分が何を覚えていて何を忘れているかを振り返るきっかけになる一条です。
この章句が説くこと
恩感謝報恩人間関係謙虚
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