言志四録 / 言志耋録 第百七十条 往事を追はざる者
不親親戚者。於他人亦疏薄。不追往事者。於當務亦苟且。
新字:不親親戚者。於他人亦疏薄。不追往事者。於当務亦苟且。
書き下し
親戚に親しまざる者は、他人に於ても亦疏薄なり。往事を追はざる者は、当務に於ても亦苟且なり。
現代語訳
親戚と親しまない者は、他人に対してもまた冷淡で薄情である。過ぎ去ったことを振り返らない者は、目の前の務めに対してもまたその場しのぎでいいかげんである。
解説
身近なものへの態度が、そのまま他のことへの態度に表れるという一条です。親族に親しまない人は、他人に対しても情が薄い。過去の出来事を振り返らない人は、いま目の前の務めもその場しのぎで済ませる。前者は『孝経』などが説く、身近な親を愛する心から他人への愛が広がるという儒学の考えに沿っています。後者は、過去を顧みて学ばない者は現在の仕事も浅くなるという指摘で、次条以降の「往事を忘れざるは厚徳」へとつながります。人柄は身近な場面でこそ表れるものであり、人を見るときの手がかりにもなります。過去の経緯を知ろうとしない態度が、仕事の質にどう響くかを考える材料にもなるでしょう。
この章句が説くこと
親族厚情往事人を見る目誠実
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