言志四録 / 言志耋録 第百六十四条 夫婦の別
少年夫婦。情如兄弟。老年夫婦。交如朋友。但其至於諧和。則或不免於過昵。故本諸男女異姓。以言其別耳。
書き下し
少年の夫婦は、情兄弟の如く、老年の夫婦は、交り朋友の如し。但だ其の諧和に至りては、則ち或は過昵を免れず。故に諸を男女姓を異にするに本づけて、以て其の別を言ふのみ。
現代語訳
若い夫婦は、情愛が兄弟のようであり、年老いた夫婦は、交わりが友人のようである。ただ仲むつまじさが行き着くと、ときになれなれしくなりすぎることを免れない。だから男女はもともと姓を異にするという点にもとづいて、夫婦の「別(けじめ)」を説くのである。
解説
『孟子』が五倫の一つに挙げる「夫婦別有り」の意味を、一斎なりに解き明かした一条です。若い夫婦は兄弟のように情が深く、老いた夫婦は友人のように対等に交わる。その睦まじさはよいことですが、行き過ぎると互いへの敬意を欠いた狎れ合いになる。そこで、もとは異なる家に生まれた者どうしであることを思い起こさせ、けじめを保たせるのが「別」の意味だと言うのです。「別」を男女の役割の区別としてではなく、親しさの中の節度として読んでいるところに特色があります。夫婦に限らず、長く共に働く仲間との間でも、親しさと敬意をどう両立させるかを考える材料になるでしょう。
この章句が説くこと
夫婦五倫別親しき仲の礼人間関係
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