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言志四録 / 言志耋録 第百六十三条 善を善とし悪を悪む

小兒。喚做慧兒則喜。做黠兒則慍。其善善惡惡。根於天性者然也。

新字:小児。喚做慧児則喜。做黠児則慍。其善善悪悪。根於天性者然也。

書き下し

小児は、喚びて慧児と做せば則ち喜び、黠児と做せば則ち慍る。其の善を善とし悪を悪むこと、天性に根ざす者然るなり。

現代語訳

幼い子どもは、「賢い子だ」と呼べば喜び、「ずる賢い子だ」と呼べば腹を立てる。善を善として好み、悪を悪として憎む心が、生まれつきの性に根ざしているから、そうなるのである。

解説

子どもの反応から、人の本性が善であることを確かめた一条です。「慧」も「黠」も頭の働きがよいことを指しますが、前者はほめ言葉、後者はずる賢いという悪い意味を帯びます。教えられずとも子どもがその違いを感じ取り、一方に喜び一方に怒るのは、善を好み悪を憎む心が天性に根ざしているからだと一斎は言います。『孟子』の性善説を、身近な観察で裏づけたものです。前条の「勿欺」の教えも、この天性があるからこそ届くのでしょう。人を育てるとき、外から規則を押しつけるより、相手の中にもともとある善を好む心に呼びかけるほうが力を持つのではないか。そう考える材料になる一条です。

この章句が説くこと

性善天性善悪子育て人間観

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