言志四録 / 言志耋録 第百六十一条 厳にして恕
訓女子。宜恕而嚴。訓小人。宜嚴而恕。
新字:訓女子。宜恕而厳。訓小人。宜厳而恕。
書き下し
女子を訓ふるには、宜しく恕にして厳なるべし。小人を訓ふるには、宜しく厳にして恕なるべし。
現代語訳
女性を教えるには、思いやりを基本にしつつ厳しさを備えるのがよい。身分の低い者(使用人など)を教えるには、厳しさを基本にしつつ思いやりを備えるのがよい。
解説
教える相手によって、思いやり(恕)と厳しさ(厳)の配合を変えるべきだという一条です。「恕にして厳」は恕を主として厳を添え、「厳にして恕」は厳を主として恕を添えるという、語順による重みの違いが要です。「女子と小人とは養ひ難し」という『論語』陽貨篇の言葉を背景にした、江戸時代の身分や男女観に根ざした区別であり、そのまま現代に当てはめることはできません。ただ、一斎が一律の教え方を否定し、相手の立場や性質に応じて恕と厳の比重を変えようとしている点は読み取れます。どちらか一方だけでは人は育たないという前提に立ち、相手ごとに配合を考えるという発想は、今でも参考になるでしょう。
この章句が説くこと
訓戒恕厳人を育てる時代背景
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