言志四録 / 言志晩録 別存 第三十六条 上官と小人に交はる心
公曰。凡交上官。宐以事父兄之心交之。待小人。宜以養女子之心待之。則涉世大抵無敗事。
新字:公曰。凡交上官。宐以事父兄之心交之。待小人。宜以養女子之心待之。則渉世大抵無敗事。
書き下し
公曰く、「凡そ上官に交はるには、宜しく父兄に事ふるの心を以て之に交はるべし。小人を待つには、宜しく女子を養ふの心を以て之を待つべし。則ち世を渉るに大抵事を敗る無し」と。
現代語訳
公(林述斎)は言った。「およそ上役と交わるときには、父や兄に仕える心をもって交わるべきである。小人(器量の小さい者)を扱うときには、女子を養い育てる心をもって扱うべきである。そうすれば、世渡りにおいて大抵しくじることはない」。
解説
上役と、器量の小さい者への接し方を説いた述斎の言葉です。上役には父兄に仕えるような敬意と親しみをもって接し、小人には女子を養うような心で接せよ、と言います。後半は『論語』陽貨篇の「唯だ女子と小人とは養ひ難しと為す。之を近づくれば則ち不孫、之を遠ざくれば則ち怨む」を踏まえたもので、近づけすぎず遠ざけすぎず、辛抱強く面倒を見るという意味でしょう。女性をこのように並べるのは時代の制約で、今日そのまま受け取ることはできません。ただ、相手によって接し方の「心」を定めておけば世渡りで大きく誤らないという考え方自体は、実務的な知恵と言えます。上と下、それぞれにどんな心構えで向き合っているかを振り返る手がかりになります。
この章句が説くこと
処世上下関係敬意人の扱い方論語
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