言志四録 / 言志耋録 第百五十六条 人材を舎つるは尤も惜し
世有可惜者。龜玉大寶。渾於瓦礫。可惜。希世名劒。賤人佩之。可惜。非常人材。舍而不用。尤可惜。
新字:世有可惜者。亀玉大宝。渾於瓦礫。可惜。希世名劒。賤人佩之。可惜。非常人材。舎而不用。尤可惜。
書き下し
世に惜しむべき者有り。亀玉の大宝、瓦礫に渾る、惜しむべし。希世の名剣、賤人之を佩ぶ、惜しむべし。非常の人材、舎てて用ゐざる、尤も惜しむべし。
現代語訳
世の中には惜しむべきことがある。亀甲や宝玉のような大きな宝が、瓦や小石に混じっているのは惜しい。世にまれな名剣を、つまらない人が腰に帯びているのは惜しい。並外れた人材を、捨て置いて用いないのは、何より惜しい。
解説
惜しむべきものを三つ挙げ、最後に最も惜しいものを置く、段階を踏んだ構成の一条です。宝が瓦礫に埋もれていること、名剣がそれにふさわしくない者の腰にあること、そして並外れた人材が用いられずに放置されていること。宝や剣は物にすぎませんが、人材は用いられなければその一生が失われます。前条では、才能ある者を無理に取り立てることの不幸を寓話で語っていましたが、この条はその裏側、才能を見過ごすことの損失を説いています。両条を並べると、人をどこに置くかの難しさが浮かび上がります。組織の中に埋もれている力を見いだせているか、見いだしても生かせているかを問う一条です。
この章句が説くこと
人材登用人を見る目適材適所
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