言志四録 / 言志耋録 第百五十三条 常人の栄辱と達人の栄辱
有常人之榮辱。有達人之榮辱。常人之榮辱。達人未甞以爲榮辱。達人之榮辱。常人不知其爲榮辱。
新字:有常人之栄辱。有達人之栄辱。常人之栄辱。達人未甞以為栄辱。達人之栄辱。常人不知其為栄辱。
書き下し
常人の栄辱有り、達人の栄辱有り。常人の栄辱は、達人未だ嘗て以て栄辱と為さず。達人の栄辱は、常人其の栄辱たるを知らず。
現代語訳
普通の人の栄誉と恥辱があり、道に達した人の栄誉と恥辱がある。普通の人が栄誉・恥辱とするものを、達人はこれまで一度も栄誉・恥辱と考えたことがない。達人が栄誉・恥辱とするものを、普通の人はそれが栄誉・恥辱であることを知らない。
解説
栄誉と恥辱の基準は、人の器によってまったく異なると述べた一条です。常人にとっての栄辱は、地位や名声、人からの評価といった外のものでしょう。達人はそうしたものを栄辱と考えたことがない。逆に達人にとっての栄辱は、道にかなったか否か、自分の心に恥じるところがないかといった内のもので、常人にはそれが栄辱であることすら見えない。前の条で見た「富貴は心に在り」と同じ構図を、名誉に当てはめたものといえます。自分が何を誇りとし、何を恥としているかは、そのままその人の器を映します。評価制度や肩書きとは別に、自分の中の栄辱の基準を確かめてみる材料になる一条です。
この章句が説くこと
栄辱達人名誉価値観器量
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