歎異抄 / 第十二条
たとい自余の教法は勝れたりとも、自らがためには器量及ばざれば、つとめがたし。 我も人も生死を離れんことこそ諸仏の御本意にておわしませば、御妨げあるべからず」とて、にくい気せずは、誰の人かありて仇をなすべきや。
書き下し
たとい自余の教法は勝れたりとも、自らがためには器量及ばざれば、つとめがたし。 我も人も生死を離れんことこそ諸仏の御本意にておわしませば、御妨げあるべからず」とて、にくい気せずは、誰の人かありて仇をなすべきや。
現代語訳
たとえ他の教えのほうが優れていたとしても、自分の器量ではとても及ばないので、努めることができない。私たちも他の人々も、迷いの世界を離れることこそが諸仏の本意であるのだから、妨げになるはずがない』と言って、憎らしい態度を取らなければ、いったい誰が敵となって害を加えるだろうか。
解説
自分に合った道を選ぶことは、他の道を否定することとは違う、という当たり前でありながら忘れがちな道理が語られている。自分の器量を正直に認めることは、卑下することではなく、無用な争いを避けて穏やかに歩むための知恵でもある。他人の選んだ道を尊重しながら、自分の道を静かに歩む姿勢が、ここには示されている。誰もが同じやり方で迷いを離れられるわけではないという前提に立てば、比べ合う必要そのものがなくなっていく。

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本の中身を見るこの章句が説くこと
器量生死を離れる争わない知恵
関連する章句
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『政談』諸役人器量の選別なる事諸役に各々その掌りありて、人の器量もその役儀に随ひて撰ひ別なるへし、老中なとは政務の本締なれは国政の全体に通達し、依怙贔負なく人の善きを育てゝをとなしき人にあらすんはその職に叶ひかたし、其の中に老中は遠大の智恵あらは瑣細なる働なくとも然るへし、若老中は仮令遠大成る智恵のかたは少くとも才智の筋を専らにすへし、両役ともに人を知り人を見出すことを職分の第一となすへし、右に云たる如くにつかさどりのすずを分けは、その筋々に随ひて器量の撰ひ人別なるへし、
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『政談』諸役人器量の選別なる事御目付は殿中御史の職なり、非法をたゝすを当職とす、法式になれすしては叶はさることなり、当時は御老中若老中のつかひものゝやうになりたるは、若老中に下つかさなき故なり、寺社奉行は寺社のをさめを第一とし、出家社家等に不法なきやうに下知すること当職なるへし、左れは寺社の古実も達せすんはあるへからす、地方は算勘の職別の仔細なし、町奉行は町の治を第一とし、町方に悪人多く出て町中治まらすんは町奉行の越度たるへし、寺社奉行も地方奉行も町奉行も当時は公事を捌くことを重とする故、治めのかたをは誰心付く人なし、治め悪しきときはたれも悪事も上たことなく、公事のことは別に公事奉行を立てゝ法律に通達したる人を用ゆへし、斯の如く御役の筋皆各別にて器量の筋も変り有ることなるに、当時は御老中若老中寺社奉行の外は、皆大方は目付より立身することなる故、何れの役も目付の風なり、又勲階と云ふ事のなき故立身の筋大方極まりて、一役を十年も二十年も一代に勤むるやうにすること成りかたし、役々の器量を相応に撰む筋失行たり、
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『呻吟語』内篇・問學・只だ是れ器度小なり學者の大病痛は、只だ是れ器度小なり。
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言志四録・言志後録 第百九十条 小事を誇るは器小なり事に大小有り。常に大事を斡旋する者は、小事に於ては則ち蔑如たり。今人毎に小事を区処し、済し得て後自ら喜び、人に向かって誇説す。是れ其の器の小なるを見る。又是の人従前未だ曾て大事に手を下さざるを見る。