言志四録 / 言志耋録 第百三十六条 入るとして自得せざる無し
君子。無入不自得。怏怏。惟功利人著之。
書き下し
君子は、入るとして自得せざる無し。怏怏たるは、惟だ功利の人のみ之を著す。
現代語訳
君子は、どのような境遇に入っても、満ち足りた心でいないことはない。不満げで鬱々とした様子は、ただ功名や利益を求める人だけが表に出すものである。
解説
前半は『中庸』の「君子は入るとして自得せざる無し」を引いています。富貴にあっても貧賤にあっても、異国にあっても患難にあっても、君子はその境遇に即して行い、自分の心に満ち足りているという意味です。これに対して「怏怏」、すなわち不平不満が顔に出るのは、功名や利益を目当てに動く人だと一斎は言います。前条の「楽は心の本体」を裏返しから述べた条ともいえます。外の成果を目当てにする限り、思い通りにならない境遇はいつも不満の種になります。望まない異動や役割を与えられたとき、その場で何を自分の務めとするかを考える材料になる一条です。
この章句が説くこと
自得君子功利境遇心術
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