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言志四録 / 言志耋録 第百三十条 足るを知るの足る

知足之足。常足矣。庶乎仁。無恥之恥。無恥矣。庶乎義。

書き下し

足るを知るの足るは、常に足る。仁に庶からん。恥無きを之れ恥づれば、恥無し。義に庶からん。

現代語訳

足ることを知って得る満足は、いつまでも満ち足りている。これは仁に近い。恥を知らないことを恥じるならば、恥ずべきことはなくなる。これは義に近い。

解説

前半は『老子』の「足るを知るの足るは常に足る」、後半は『孟子』尽心上の「恥無きを之れ恥づれば恥無し」を踏まえ、それぞれを仁と義に結びつけた一条です。道家と儒家の言葉を並べるところに、学派の枠にこだわらない一斎の読み方がうかがえます。足るを知る心は、奪い合わずに人と分かち合う余裕を生むので仁に近く、恥を知る心は、自分の行いに筋を通させるので義に近いというのでしょう。満足と恥という、内側の感覚の持ち方が徳の土台になっています。成果や評価を追い続けて疲れたとき、自分の中の「足る」と「恥」の基準がどこにあるかを見直す手がかりになる一条です。

この章句が説くこと

知足恥仁義心術

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