言志四録 / 言志耋録 第百二十九条 世を渉るは謙と予
豫。是要終於始。謙。是全始於終。涉世之道。無若謙與豫。
新字:予。是要終於始。謙。是全始於終。渉世之道。無若謙与予。
書き下し
予は、是れ終りを始めに要するなり。謙は、是れ始めを終りに全うするなり。世を渉るの道は、謙と予とに若くは無し。
現代語訳
予(あらかじめ備えること)とは、終わりのことを始めの段階で見通して備えておくことである。謙(へりくだること)とは、始めの姿勢を終わりまで全うすることである。世を渡る道として、謙と予に及ぶものはない。
解説
「予(豫)」と「謙」はいずれも『易経』の卦の名で、一斎はそれを始めと終わりの関係で読み解きます。予は、終わりを始めに求めること、つまり事の結末を最初の段階で見通して備えておくことです。謙は、始めを終わりに全うすること、つまり最初の慎みの姿勢を最後まで保ち通すことです。『易経』の謙卦には「君子終り有り」とあり、謙こそが事を良く終える徳とされます。前条では栄辱は自分が招くと述べていましたが、ここでは始めに見通し、終わりまで慎むことが、禍を招かず世を渡る道だと結びます。計画段階で結末を描けているか、成功の後も最初の姿勢を保てているか、その両面を点検させる一条です。
この章句が説くこと
予謙易経準備処世
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