呻吟語 / 内篇・談道・權は豫め設く可からず
事有豫而立,亦有豫而廢者。吾曾豫以有待,臨事鑿枘不成,竟成棄擲者。所謂權不可豫設,變不可先圖,又難執一論也。
新字:事有予而立,亦有予而廃者。吾曽予以有待,臨事鑿枘不成,竟成棄擲者。所謂権不可予設,変不可先図,又難執一論也。
書き下し
事に豫めして立つ有り、亦た豫めして廢るる者有り。吾れ曾て豫めして以て待つ有りしも、事に臨みて鑿枘合はず、竟に棄擲と成る者あり。所謂る權は豫め設く可からず、變は先に圖る可からずとは、又た一を執りて論じ難きなり。
現代語訳
備えておいたから成る事もあれば、備えておいたから駄目になる事もあります。私も以前、準備して待ち構えていたのに、いざとなると木組みのほぞと穴が合わず、結局は捨てることになったことがありました。臨機の判断はあらかじめ決めておけない、変化は先回りして図れないと言われるのは、こういうことで、一つの原則で割り切れないのです。
解説
備えあれば憂いなしという常識に、正面から但し書きをつけます。しかも自分が失敗した例を先に出すのが呂坤らしいところです。準備した型に現実を当てはめようとして、ほぞと穴が合わなかった、と。前もって決められるのは方針までで、臨機の判断は現場でしか出せません。準備の価値を否定せず、準備の効かない領域を切り分けた実務的な段です。
この章句が説くこと
準備臨機変化計画現場
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