うひ山ぶみ / 第六段
まことに然あるべきことにて、その學のしなを正し、まなびやうの法をも正して、ゆくさきよこさまなるあしき方に落チざるやう、又其業のはやく成るべきやう、すべて功多かるべきやうを、はじめよりよくしたゝめて、入らまほしきわざ也、
新字:まことに然あるべきことにて、その学のしなを正し、まなびやうの法をも正して、ゆくさきよこさまなるあしき方に落チざるやう、又其業のはやく成るべきやう、すべて功多かるべきやうを、はじめよりよくしたゝめて、入らまほしきわざ也、
書き下し
まことに然あるべきことにて、その学のしなを正し、まなびやうの法をも正して、ゆくさきよこさまなるあしき方に落チざるやう、又其業のはやく成るべきやう、すべて功多かるべきやうを、はじめよりよくしたゝめて、入らまほしきわざ也、
現代語訳
実際そうあるべきことで、学問の分野を正し、学び方の作法も正して、先々よこしまな悪い方向へ落ち込まないように、また学業が早く成るように、総じて成果が多く上がるように、はじめによく整えてから入りたいものである。
解説
前段の「人に聞く」を、宣長ははっきり肯定する。始める前に分野と方法を整えておけば、道を踏み外さずにすみ、成果も早く多くなる、と。この書が「うひ山ぶみ(初めて山に分け入る)」と名づけられた理由がここにある。山に入る前に道を確かめておく、という発想である。ただし宣長は、この直後に「とはいえ分野は人に強制できない」と条件をつける。準備の重要さを説きながら、準備が本人の意思を上書きしないよう歯止めをかけているのである。入る前に整えるが、決めるのは本人だという二段構えになっている。

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