言志四録 / 言志耋録 第百十五条 寛事は捷く、急事は徐ろに
處寛事。要捷做。不然失於稽緩。處急事。要徐做。不然。失於躁遽。
新字:処寛事。要捷做。不然失於稽緩。処急事。要徐做。不然。失於躁遽。
書き下し
寛事を処するには、捷く做すを要す。然らざれば稽緩に失す。急事を処するには、徐ろに做すを要す。然らざれば躁遽に失す。
現代語訳
急がなくてよい事を処理するときは、手早く行うのがよい。そうでないと、ぐずぐずと遅れる過ちに陥る。急ぎの事を処理するときは、落ち着いてゆっくり行うのがよい。そうでないと、あわてふためく過ちに陥る。
解説
急がない事は手早く、急ぐ事は落ち着いて行え、という逆説的な処事の心得です。期限に余裕のある仕事は、つい後回しにしてしまい、気づけば手遅れになる。「稽緩」はぐずぐずと滞ることです。逆に急ぎの仕事は、気が急くあまり手順を誤り、かえって時間を失う。「躁遽」はあわてふためくことです。どちらも、事の性質に引きずられて心の速さが偏ることへの戒めでしょう。前の条で決断が軽遽に、謹厳が拘泥に陥ると述べたのと同じく、一斎は行き過ぎの両端を見ています。「急がば回れ」にも通じる知恵ですが、余裕のある仕事にこそ早く手をつけよという前半も、日々の段取りを考えるうえで示唆に富みます。
この章句が説くこと
処事段取り緩急平静時間
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