言志四録 / 言志晩録 第二百三十八条 心は則ち緩急を忘る
晝夜有短長。而天行無短長。惟無短長。是以能成晝夜。人亦然。緩急在事。心則忘緩急。可也。
新字:昼夜有短長。而天行無短長。惟無短長。是以能成昼夜。人亦然。緩急在事。心則忘緩急。可也。
書き下し
昼夜に短長有れども、天行には短長無し。惟だ短長無し、是を以て能く昼夜を成す。人も亦然り。緩急は事に在り、心は則ち緩急を忘れて可なり。
現代語訳
昼と夜には長い短いがあるが、天の運行そのものには長短がない。ただ長短がないからこそ、昼夜をなすことができる。人もまた同じである。緩やかさや急ぎは事柄の側にあるものであり、心のほうは緩急を忘れているのがよい。
解説
前の条で、事は天行のように緩でも急でもなく行えと述べたのを、さらに一歩深めた一条です。季節によって昼夜の長さは変わりますが、天の運行そのものは一定の速さで巡っています。一定だからこそ、さまざまな長さの昼夜を生み出せるのです。人も同じで、急ぐべき仕事もあれば、ゆっくり進めるべき仕事もある。しかしそれは事柄の性質であって、心まで急いだり緩んだりする必要はない、と一斎は言います。外の状況に合わせて行動の速さは変えつつ、心は常に一定に保つ。これが緩急を自在に使い分ける秘訣だというのです。急な案件に追われるときも、心まで慌てていないか。仕事の速さと心の速さを分けて考える視点を与えてくれます。
この章句が説くこと
緩急平常心天行心の持ち方一貫性
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