言志四録 / 言志晩録 第百五十七条 鄭重と敏速
上官屬事於我。我宐要敬愼鄭重。下吏請事於我。我宐要區處敏速。但事非一端。則鄭重愆期。敏速誤事。亦容有之。須善先慮其輕重。以從事之爲要。
新字:上官属事於我。我宐要敬慎鄭重。下吏請事於我。我宐要区処敏速。但事非一端。則鄭重愆期。敏速誤事。亦容有之。須善先慮其軽重。以従事之為要。
書き下し
上官事を我に属すれば、我宜しく敬慎鄭重を要すべし。下吏事を我に請へば、我宜しく区処敏速を要すべし。但だ事一端に非ざれば、則ち鄭重にして期を愆り、敏速にして事を誤ること、亦容に之有るべし。須らく善く先づ其の軽重を慮りて、以て之に従事するを要と為すべし。
現代語訳
上役が私に仕事を任せてきたときは、慎み深く丁寧に取り組むことが大切である。下役が私に仕事の指示を求めてきたときは、てきぱきと速やかに処理することが大切である。ただし物事は一様ではないので、丁寧にしすぎて期限を過ぎたり、速くしようとして事を誤ったりすることも、やはりありうるだろう。まずよくその事の重要度を考えたうえで、取りかかることを要とすべきである。
解説
上から来た仕事は丁寧に、下から来た仕事は迅速に、という心得を示したうえで、それを機械的に当てはめるなと付け加えた一条です。上役の依頼を鄭重に扱えば期限に遅れることがあり、下役の求めに敏速に応じれば誤ることもある。だから結局は、事の軽重をまず考えよと言います。数条前にも「先づ其の事の軽重を見て、而る後に之を処すべし」とあり、一斎が繰り返し強調する原則です。下からの相談を後回しにせず速く応じよという指摘は、中間管理職にとって特に耳の痛いところでしょう。依頼の出どころで扱いを決めるのではなく、事柄そのものの重さで判断できているかを振り返らせる一条です。
この章句が説くこと
軽重丁寧さ迅速中間管理職判断
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