言志四録 / 言志耋録 第百八条 実功虚心
心體尙虛。事功尙實。實功虛心。唯賢者能之。
新字:心体尚虚。事功尚実。実功虚心。唯賢者能之。
書き下し
心体は虚を尚び、事功は実を尚ぶ。実功虚心は、唯だ賢者のみ之を能くす。
現代語訳
心の本体はとらわれのない虚を尊び、事業や功績は中身の詰まった実を尊ぶ。実のある功績を挙げながら心は虚であることは、ただ賢者だけがなしうる。
解説
心と仕事とで、尊ぶべきものが正反対になることを示した一条です。心の本体は「虚」、つまり先入観や私心にとらわれず空いていることが尊ばれます。一方、事業や功績は「実」、中身があり実際に役立つことが尊ばれます。この二つを兼ね備え、確かな成果を挙げながら心はそれに執着せず空いている。それができるのは賢者だけだと一斎は言います。成果を挙げると、それを誇り、それに縛られるのが人の常でしょう。逆に心の虚を求めるあまり、事に疎くなる人もいます。実績を積むほど、それにとらわれない心を保てているか。成果を求められる立場の人にとって、考えてみる価値のある組み合わせです。
この章句が説くこと
虚心実功謙虚成果賢者
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