言志四録 / 言志晩録 第二百四十五条 己の短処を挙げて人に詢ふ
不言己長處。不護己短處。宜擧己短處。虛心以詢諸人。可。
新字:不言己長処。不護己短処。宜挙己短処。虚心以詢諸人。可。
書き下し
己の長処を言はず、己の短処を護らず。宜しく己の短処を挙げ、虚心以て諸を人に詢ふべくして可なり。
現代語訳
自分の長所を口にせず、自分の短所をかばわない。むしろ自分の短所を自ら挙げて、虚心に人に尋ねるのがよい。
解説
前の条の「自ら処するには長を忘れて短を勉むべし」を、具体的な行動として示した一条です。自分の長所を語らない、短所を弁護しない。そこからさらに一歩進んで、自分から短所を挙げ、どうすればよいかを虚心に人に尋ねよと一斎は言います。短所を隠したり言い訳したりするのは、自分を守ろうとする心の表れです。それを捨てて素直に教えを求めれば、周囲の知恵が集まり、自分一人では気づけない改善の道が開けます。『論語』に、顔回は「能を以て不能に問ふ」とあるのを思わせる姿勢です。人の上に立つ人ほど、自分の弱みを見せることをためらいがちです。しかし弱みを率直に示して助言を求める姿勢は、かえって周囲の信頼と協力を引き出すことがあります。
この章句が説くこと
虚心謙虚自己開示傾聴改過
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