言志四録 / 言志耋録 第百七条 四科を取り違ふ勿れ
勿認虛無做德行。勿認詭辯做言語。勿認功利做政事。勿認詞章做文學。
新字:勿認虚無做徳行。勿認詭弁做言語。勿認功利做政事。勿認詞章做文学。
書き下し
虚無を認めて徳行と做すこと勿れ。詭弁を認めて言語と做すこと勿れ。功利を認めて政事と做すこと勿れ。詞章を認めて文学と做すこと勿れ。
現代語訳
虚無の教えを徳行と取り違えてはならない。詭弁を言語(言葉の才)と取り違えてはならない。功利を政事と取り違えてはならない。美辞麗句を連ねた詩文を文学(学問)と取り違えてはならない。
解説
徳行・言語・政事・文学は、『論語』先進篇で孔子の門人の長所を分類した「孔門四科」です。一斎はそれぞれに紛らわしい偽物を並べて戒めます。徳行に似て非なるものは虚無、つまり老荘や仏教の説く無への傾き。言語に似て非なるものは詭弁、政事に似て非なるものは功利、文学に似て非なるものは詞章、つまり飾りの多い詩文です。ここでの文学は今日の文芸ではなく、学問全般を指します。いずれも本物とよく似て見え、しかも手軽に身につくところが危ういのでしょう。弁が立つことを説得力と、数字の成果を経営と、見栄えのよい資料を知見と取り違えていないか。四つの対は今日の職場にもそのまま置き換えられそうです。
この章句が説くこと
孔門四科徳行政事学問見極め
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