言志四録 / 言志耋録 第百五条 夢寐は自ら欺く能はず
知人。難而易。自知。易而難。但當徵諸夢寐以自知。夢寐不能自欺。
新字:知人。難而易。自知。易而難。但当徴諸夢寐以自知。夢寐不能自欺。
書き下し
人を知るは、難くして易し。自ら知るは、易くして難し。但だ当に諸を夢寐に徴して以て自ら知るべし。夢寐は自ら欺く能はず。
現代語訳
他人を知ることは、難しいようで実はやさしい。自分を知ることは、やさしいようで実は難しい。ただ、自分の夢に照らして自分を知るのがよい。夢は自分を欺くことができないからである。
解説
人を知るのは難しそうで易しく、自分を知るのは易しそうで難しいと一斎は言います。他人は外から冷静に見られますが、自分については都合のよい解釈がいくらでも入り込むからです。そこで一斎が勧めるのが、夢に照らして自分を知ることです。起きている間は自分をごまかせても、夢の中では取り繕うことができない。前の数条で夢を「心の画図」とし、心に無いものは夢に現れないと述べてきた、その結論にあたる条です。次の条では「自ら欺かざる」ことが天に事えることだと続きます。自己評価と実際の自分とのずれに、どうすれば気づけるのか。その手がかりを考えさせる一条です。
この章句が説くこと
自己認識夢人を見る目自欺内省
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