言志四録 / 言志晩録 第百三条 己を知るは易きに似て難し
知彼知己。百戰百勝。知彼。似難而易。知己。似易而難。
新字:知彼知己。百戦百勝。知彼。似難而易。知己。似易而難。
書き下し
彼を知り己を知れば、百戦百勝す。彼を知るは、難きに似て易く、己を知るは、易きに似て難し。
現代語訳
敵を知り自分を知れば、百たび戦って百たび勝つ。敵を知るのは難しそうに見えて実はやさしく、自分を知るのはやさしそうに見えて実は難しい。
解説
『孫子』謀攻篇の「彼を知り己を知れば百戦殆からず」を踏まえた条です(一斎は「百戦百勝」と書いています)。一斎の工夫は後半にあります。敵のことは調べにくそうに見えて、関心を向ければ案外わかる。ところが自分のことは、わかっているつもりで実はわかっていない。自分への評価には欲や思い込みが混じり、弱点ほど見えにくいからです。一斎は別の条で自らを省みることの難しさを繰り返し述べており、兵法の格言を修養の問題として読み直しているのです。競合や市場の分析には熱心でも、自社や自分の弱みを直視するのは難しいもの。分析の目をまず自分に向けているかを問う手がかりになります。
この章句が説くこと
自己認識孫子兵法内省彼我
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