言志四録 / 言志耋録 第百二条 夜寝の工夫は静虚
夜寢工夫。只要靜虛。不要思惟。夢中象迹。有續昨夢者。有襲數日前之夢者。葢念慮留滯之所致。胸中靜虛。無此等事。
新字:夜寝工夫。只要静虚。不要思惟。夢中象迹。有続昨夢者。有襲数日前之夢者。葢念慮留滞之所致。胸中静虚。無此等事。
書き下し
夜寝の工夫は、只だ静虚を要す。思惟を要せず。夢中の象迹、昨夢に続く者有り、数日前の夢を襲ふ者有り。蓋し念慮の留滞の致す所なり。胸中静虚なれば、此等の事無し。
現代語訳
夜寝るときの工夫は、ただ心を静かで空っぽにしておくことが大切であり、あれこれと考えないことである。夢の中の情景には、昨夜の夢の続きのものもあれば、数日前の夢をくり返すものもある。思うに、思いや気がかりが心に滞っているために起こるのであろう。胸の中が静かで空っぽであれば、こうしたことは起こらない。
解説
前条で、道理を考えて良い答えが得られるのは夜更けだと言った一斎ですが、眠るときの工夫はまた別で、ただ心を静かに虚しくすることであり、考えごとは要らないと言います。夢が前夜の続きになったり、数日前の夢を繰り返したりするのは、思いや気がかりが胸に滞っているせいだろう、と観察しています。一斎はこの後の数条で夢をたびたび取り上げ、夢を心の状態を映すものとして見ています。考え続けることと手放すことの切り替えは、責任ある仕事をする人ほど難しいものです。仕事の気がかりを寝床まで持ち込んでいないか、自分の眠りを振り返る材料になります。
この章句が説くこと
睡眠静虚夢念慮養生
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