導師導古典を学びたいすべての人に

言志四録 / 言志耋録 第九十三条 恭敬を甲冑と為す

牧竪折腰。不得不頷。乳童拱手。亦不可戲。君子以恭敬爲甲冑。以遜讓爲干櫓。誰敢以非禮加之。故曰。人自侮。而後人侮之。

新字:牧竪折腰。不得不頷。乳童拱手。亦不可戯。君子以恭敬為甲冑。以遜譲為干櫓。誰敢以非礼加之。故曰。人自侮。而後人侮之。

書き下し

牧竪腰を折れば、頷かざるを得ず。乳童手を拱すれば、亦戯るべからず。君子は恭敬を以て甲冑と為し、遜譲を以て干櫓と為す。誰か敢へて非礼を以て之に加へん。故に曰く、「人自ら侮りて、而る後に人之を侮る」と。

現代語訳

牛飼いの子どもが腰をかがめてお辞儀をすれば、こちらもうなずいて応えないわけにはいかない。乳飲み子が手を組んで礼をすれば、これもふざけてあしらうわけにはいかない。君子は恭しく慎む態度を鎧兜とし、へりくだり譲る態度を盾とする。そうであれば誰があえて無礼をはたらくだろうか。だから(孟子に)「人は自分で自分を侮り、その後で他人がその人を侮る」と言うのである。

解説

牛飼いの少年でも、幼い子でも、礼を尽くされればこちらも礼で応えずにはいられない。礼儀には相手の態度を変える力がある、というところから一斎は説き起こします。そのうえで、君子は恭敬を鎧兜とし、謙遜を盾とすると言います。攻めてくる非礼を防ぐのは、力や弁舌ではなく自らの慎みだという発想です。結びの「人自ら侮りて、而る後に人之を侮る」は『孟子』離婁上篇の言葉で、侮られるのはまず自分が自分を軽んじたからだという意味です。この条は、敬を論じた一連の条の中にあります。相手に軽く扱われたと感じたとき、自分の側の振る舞いに何が映っていたのかを振り返る手がかりになります。

この章句が説くこと

恭敬謙譲礼自尊処世

関連する章句

古典の入門書『人生の教科書』の表紙

人生の答えは、ぜんぶ古典に書いてあった。

古典の入門書『人生の教科書』(PDF)と、師導の全機能1か月がセットで700円。二十四の悩みに、論語・老子・孫子から徒然草・五輪書までが答えます。

本の中身を見る
古典の入門書『人生の教科書』(PDF)+師導1か月=700円 本を見る