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言志四録 / 言志耋録 第九十四条 敬は弛むべからず

敬稍弛。則經營心起。經營心起。則名利心從之。敬不可弛也。

新字:敬稍弛。則経営心起。経営心起。則名利心従之。敬不可弛也。

書き下し

敬稍弛めば、則ち経営の心起る。経営の心起れば、則ち名利の心之に従ふ。敬は弛むべからざるなり。

現代語訳

敬が少しでもゆるむと、あれこれと算段をめぐらす心が起こる。算段の心が起これば、名誉や利益を求める心がそれに付き従って起こってくる。だから敬はゆるめてはならないのである。

解説

敬がわずかに緩んだところから心が崩れていく順序を、一斎は短く描いています。ここでいう「経営」は事業の経営ではなく、あれこれと計らい画策する心のはたらきのことです。心の締まりが緩むと、まず小賢しい計算が頭をもたげ、計算が始まると名誉や利得への欲がそれに付いてくる。欲は突然生じるのではなく、緩みから計算へ、計算から欲へと段階を踏んで入り込むという見方です。だからこそ入口である敬を緩めてはならない、と一斎は言います。損得を考えること自体は仕事に欠かせませんが、それが自分の中でどんな順序で始まっているのかに目を向けてみる。その材料になる一条です。

この章句が説くこと

敬名利欲自戒心術

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