言志四録 / 言志耋録 第七十四条 我の言行の差錯を咎めよ
寒暑節候。稍與曆本差錯。人訴其不順。我之言行毎有差錯。不知自咎。何其不思之甚。
新字:寒暑節候。稍与暦本差錯。人訴其不順。我之言行毎有差錯。不知自咎。何其不思之甚。
書き下し
寒暑節候、稍暦本と差錯すれば、人其の不順を訴ふ。我の言行毎に差錯有るも、自ら咎むるを知らず。何ぞ其れ思はざるの甚しき。
現代語訳
寒さ暑さや季節の移り変わりが、少しでも暦とずれると、人は天候の不順を訴える。ところが自分の言行はしょっちゅう食い違っているのに、自分を責めることを知らない。なんと考えの足りないことか。
解説
季節の寒暖が暦から少しずれただけで、人は天候不順だと不満を言います。ところが自分の言葉と行いが食い違うことはしょっちゅうあるのに、それを咎めようとはしない。一斎はその矛盾を、ユーモアを交えて突いています。天地の運行は人の都合に関係なく大筋では正確にめぐっているのに、人はわずかなずれにも文句をつけ、自分の大きなずれには気づかない。他人や環境の不備には敏感で、自分の不備には鈍感だという人間の性質を、身近な例で浮かび上がらせた条です。言行の一致は、信頼の基盤です。環境や他人への不満を口にしかけたとき、自分の言行にずれはないかを振り返る材料になります。
この章句が説くこと
言行一致自責反省天道信頼
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