言志四録 / 言志後録 第九十七条 懲忿窒慾は養生
忿熾則氣暴。慾多則氣耗。懲忿窒慾。於養生亦得。
新字:忿熾則気暴。慾多則気耗。懲忿窒慾。於養生亦得。
書き下し
忿熾んなれば則ち気暴れ、慾多ければ則ち気耗す。忿を懲らし慾を窒ぐは、養生に於ても亦得たり。
現代語訳
怒りが燃え盛れば気が荒れ乱れ、欲が多ければ気がすり減る。怒りをこらえ欲をふさぐことは、養生(健康を保つこと)の上でもまた理にかなっている。
解説
「懲忿窒慾(忿りを懲らし慾を窒ぐ)」は『易』損卦の象伝にある言葉で、君子の自己修養の要とされてきました。一斎はこれを道徳の話にとどめず、体の健康にも役立つと言います。怒りは気を乱暴に荒らし、欲は気を少しずつすり減らす。怒りは激しく、欲は長く、それぞれ違うかたちで心身を消耗させるという対比が的確です。心の修養と体の養生を一つのものとして捉えるのは、気の思想に立つ東洋の伝統であり、鍼を好み寝食を慎んだ一斎の実感でもあったでしょう。怒りや焦り、際限のない欲求が、判断を狂わせるだけでなく体まで蝕むことは、現代のストレスの話としても身に覚えのある人が多いのではないでしょうか。
この章句が説くこと
懲忿窒慾養生怒り欲気
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