言志四録 / 言志耋録 第二百九十四条 思慮を労するは尤も養に非ず
遠步非養。過食非養。久坐非養。勞思慮尤非養。
新字:遠歩非養。過食非養。久坐非養。労思慮尤非養。
書き下し
遠歩は養に非ず。過食は養に非ず。久坐は養に非ず。思慮を労するは、尤も養に非ず。
現代語訳
遠くまで歩くことは養生にならない。食べ過ぎは養生にならない。長く座り続けることは養生にならない。思い悩んで心を疲れさせることは、最も養生にならない。
解説
前条の「養を成す」ものと対になるように、ここでは養生にならないものを四つ挙げます。遠くまで歩きすぎること、食べすぎること、長く座り続けること、そして何より、あれこれ思い悩んで心を疲れさせること。前の三つは身体の度の過ぎ、最後の一つは心の度の過ぎです。一斎がとりわけ思慮の労を戒めているのは、心身は一つであり、心の疲れこそが身体をも蝕むと見ていたからでしょう。学者として生涯考え続けた人の言葉だけに重みがあります。長時間の座り仕事や、休日にも頭から離れない仕事の心配。現代の働き方に当てはめてみると、耳の痛い指摘ばかりかもしれません。
この章句が説くこと
養生過度思慮心身休息
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