言志四録 / 言志耋録 第六十条 挙手投足、礼楽に非ざるは無し
氣導而體隨。心和而言順。擧手投足。無非禮樂。
新字:気導而体随。心和而言順。挙手投足。無非礼楽。
書き下し
気導きて体随ひ、心和して言順ふ。手を挙げ足を投ずる、礼楽に非ざるは無し。
現代語訳
気が導けば体はそれに従い、心が和らげば言葉は穏やかに整う。そうなれば、手を挙げ足を運ぶ一挙一動が、すべて礼楽(秩序と調和)にかなったものとなる。
解説
気が先に立てば体がそれに従い、心が和らいでいれば言葉も自然と整う。そうなれば、手を挙げ足を運ぶ日常のしぐさの一つひとつが、そのまま礼楽になると一斎は言います。礼楽は儒学で社会の秩序と調和を支える根本ですが、ここでは儀式の作法ではなく、内面が整った人の自然な振る舞いとしてとらえられています。心身合一の条とも響き合い、外の形を整えるより先に、内の気と心を整えよという順序が示されています。形だけの丁寧さはどこかぎこちなく、内面の落ち着きから出た振る舞いは周りを和ませます。マナーや作法の研修だけでは身につかないものが何かを考えるきっかけになります。
この章句が説くこと
礼楽気心和振る舞い心身合一
関連する章句
-
言志四録・言志録 第七十八条 一挙手一投足皆礼なり一気息、一笑語も、皆楽なり。一挙手、一投足も、皆礼なり。
-
言志四録・言志録 第七十二条 礼楽合一の妙人をして懽欣鼓舞して、外に暢発せしむる者は、楽なり。人をして整粛収斂して、内に固守せしむる者は、礼なり。人をして懽欣鼓舞の意を整粛収斂の中に寓せしむる者は、礼楽合一の妙なり。
-
言志四録・言志録 第百六十二条 神帥ゐて気従ふ耳目手足は、都べて神帥ゐて気従ひ、気導きて体動くを要す。
-
言志四録・言志耋録 第五十三条 心身合一喜怒哀楽は、直ちに面貌に見はる。形影一套、声響同時、之を心身合一と謂ふ。
-
言志四録・言志晩録 第六条 心は平、気は易心は平なるを要す。平なれば則ち定まる。気は易なるを要す。易なれば則ち直し。
-
言志四録・言志晩録 第九十六条 軍旅にも礼楽あり軍旅にも亦礼楽有り。
人生の答えは、ぜんぶ古典に書いてあった。
古典の入門書『人生の教科書』(PDF)と、師導の全機能1か月がセットで700円。二十四の悩みに、論語・老子・孫子から徒然草・五輪書までが答えます。
本の中身を見る