言志四録 / 言志耋録 第五十九条 無事の時に心を活潑に
有事時此心寧靜。似難而易。無事時此心活潑。似易而難。
新字:有事時此心寧静。似難而易。無事時此心活溌。似易而難。
書き下し
事有る時に此の心寧静なるは、難きに似て易し。事無き時に此の心活潑なるは、易きに似て難し。
現代語訳
事が起きているときにこの心を落ち着いて静かに保つのは、難しそうで実はやさしい。何事もないときにこの心を生き生きと働かせておくのは、やさしそうで実は難しい。
解説
一般的な感覚を逆転させた一条です。非常時に心を落ち着けるのは難しそうに見えますが、一斎はむしろ易しいと言います。事が起これば、人はおのずと緊張し集中するからでしょう。むしろ難しいのは、何事もない平穏なときに心を生き生きと保つことだと言うのです。平時には心がたるみ、ぼんやりと流されがちです。危機への備えも、新しい試みも、実は平時の心の張りから生まれます。この条は、静と動の釣り合いを重んじた一斎の心法の一面を示しています。順調なときほど組織は緩みやすいという経験を持つ人には、身に覚えのある指摘ではないでしょうか。平時の過ごし方を見直す材料になります。
この章句が説くこと
寧静活溌平時心の張り心法
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