言志四録 / 言志録 第七十二条 礼楽合一の妙
使人懽欣皷舞。暢發於外者。樂也。使人整肅收斂。固守於內者。禮也。使人寓懽欣鼓舞之意於整肅收斂之中者。禮樂合一之玅也。
新字:使人懽欣鼓舞。暢発於外者。楽也。使人整粛収斂。固守於内者。礼也。使人寓懽欣鼓舞之意於整粛収斂之中者。礼楽合一之玅也。
書き下し
人をして懽欣鼓舞して、外に暢発せしむる者は、楽なり。人をして整粛収斂して、内に固守せしむる者は、礼なり。人をして懽欣鼓舞の意を整粛収斂の中に寓せしむる者は、礼楽合一の妙なり。
現代語訳
人を喜ばせ奮い立たせ、その気持ちを外へのびのびと発散させるものが、楽(音楽)である。人を引き締め慎ませ、心を内にしっかりと守らせるものが、礼である。人に、喜び奮い立つ気持ちを、引き締め慎む姿の中に宿らせるものが、礼と楽とが一つになった妙境である。
解説
儒学では、礼と楽は社会を治める両輪とされてきました。礼記の楽記篇は「楽は内より出で、礼は外より作る」と述べ、両者の働きを対にして論じています。一斎はここで、楽は人の気持ちを外に解き放つもの、礼は内に引き締めるものと整理したうえで、その二つが一つになった境地を最上とします。喜びや意欲を心に満たしながら、外見は端正に整っている。のびやかさと慎みが別々にではなく、同時に一人の人の中にあるということです。前々条の「情に循ひて情を制す」を、より具体的な姿として描いたものとも言えます。規律と活気をどう両立させるかは、組織運営の永遠の課題です。引き締めるだけでも盛り上げるだけでもない場のあり方を考える手がかりになる一条です。
この章句が説くこと
礼楽規律活気調和組織風土
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