言志四録 / 言志晩録 第四十一条 沈思と講説
余沈思義理時。覺胸中寧靜。氣體收歛。講說經書時。覺胸中醒快。氣體流動。
新字:余沈思義理時。覚胸中寧静。気体収歛。講説経書時。覚胸中醒快。気体流動。
書き下し
余、義理を沈思する時は、胸中寧静にして、気体収斂するを覚ゆ。経書を講説する時は、胸中醒快にして、気体流動するを覚ゆ。
現代語訳
私が義理について深く思索しているときは、胸の内が安らかに静まり、気や身体が内に引き締まるのを感じる。経書を講義しているときは、胸の内がすっきりと冴えわたり、気や身体が生き生きと流れ動くのを感じる。
解説
一斎が自分の心身の状態を観察して書き留めた、率直な条です。ひとり義理を沈思するときは、心が静まり気が内へ収斂する。人に向かって経書を講じるときは、心が冴えて気が外へと流れ出す。静と動、収斂と流動という二つの状態が、学問の営みの中で交互に訪れることを一斎は体で知っていました。どちらが優れているというのではなく、思索と講説が互いを補って学びが深まるのでしょう。この後の数条も講説の心得が続きます。考え抜く時間と、人に話して伝える時間とでは、同じ内容でも頭の働き方が違います。自分がどちらの状態でよく働けるのかを知っておくことは、仕事の組み立てに役立ちます。
この章句が説くこと
沈思講説静と動気心身
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