言志四録 / 言志耋録 第三十九条 気象を理会するは克己
理會氣象。便是克己工夫。語默動止。都要篤厚。要和平。要舒緩。勿粗暴。勿激烈。勿急速。
新字:理会気象。便是克己工夫。語黙動止。都要篤厚。要和平。要舒緩。勿粗暴。勿激烈。勿急速。
書き下し
気象を理会するは、便ち是れ克己の工夫なり。語黙動止、都て篤厚なるを要し、和平なるを要し、舒緩なるを要す。粗暴なること勿れ、激烈なること勿れ、急速なること勿れ。
現代語訳
自分の気象(気質や態度ににじみ出る雰囲気)をよく見きわめて整えることが、そのまま己に克つ修養である。話すときも黙っているときも、動くときも止まるときも、すべて手厚く誠実であり、穏やかで、ゆったりとしていることが必要だ。粗暴であってはならない。激しすぎてはならない。せかせかしてはならない。
解説
「気象」は人の気質が言葉や態度に表れた全体の雰囲気のことです。一斎は、この気象を自覚して整えることこそ克己、己に克つ修養だと言います。克己というと欲望を抑え込む厳しい鍛錬を想像しがちですが、ここで求められているのは、篤厚・和平・舒緩という三つの肯定的な姿と、粗暴・激烈・急速という三つの避けるべき姿です。語るときも黙るときも、動くときも止まるときも、という言い方に、日常の一挙一動がそのまま修養の場だという考えが表れています。人の上に立つ人の気象は、本人が思う以上に周りの空気を決めます。自分がどんな雰囲気をまとっているかを一度見直してみる材料になる条です。
この章句が説くこと
気象克己篤厚和平舒緩
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