言志四録 / 言志後録 第三十四条 克己は一呼吸の間
克己工夫。在一呼吸閒。
書き下し
克己の工夫は、一呼吸の間に在り。
現代語訳
己に打ち克つ修養は、ひと呼吸するほどのわずかな間にかかっている。
解説
克己、つまり自分の私欲や怠け心に打ち克つことは、長い時間をかけた大仕事のように思われがちです。しかし一斎は、それはひと呼吸の間の勝負だと言い切ります。怒りが湧いた瞬間、楽な方へ流れかけた瞬間、そこで一息おいて踏みとどまれるかどうかがすべてだというのです。論語の「己に克ちて礼に復る」を、日々の一瞬一瞬の実践に落とし込んだ言葉と言えます。次の条の「操舎一刻」とも響き合い、一斎が心の工夫を常に「今この瞬間」の問題として考えていたことがうかがえます。感情的な返信を送る前のひと呼吸のように、判断の質を左右する小さな間の大切さを思い起こさせる一条です。
この章句が説くこと
克己自制一瞬修養
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