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言志四録 / 言志耋録 第三十八条 欲の一字に工夫あり

予欲無言。欲字內有多少工夫。士希賢。賢希聖。聖希天。即此一欲字。

新字:予欲無言。欲字内有多少工夫。士希賢。賢希聖。聖希天。即此一欲字。

書き下し

「予言ふこと無からんと欲す」。欲の字の内に多少の工夫有り。士は賢を希ひ、賢は聖を希ひ、聖は天を希ふ。即ち此の一欲字なり。

現代語訳

孔子は「私はもう何も言わずにいたい」と言った(『論語』陽貨篇)。この「欲(したい)」という一字の中には、どれほど多くの修養の工夫がこめられていることか。士は賢人になろうと願い、賢人は聖人になろうと願い、聖人は天と一つになろうと願う(周敦頤『通書』)。それもまさにこの「欲」の一字なのである。

解説

『論語』陽貨篇で孔子は「予言ふこと無からんと欲す」と言い、天は何も言わないのに四季がめぐり万物が生じると続けました。一斎はその中の「欲」の一字に目をとめます。聖人である孔子でさえ、なお天のように言葉なくして感化する境地を「願い」続けていた。周敦頤『通書』の「士は賢を希ひ、賢は聖を希ひ、聖は天を希ふ」も同じ構造で、どの段階にも次に向かう願いがあります。一斎にとって「欲」は私欲ではなく、向上しようとする志の働きです。到達したと思った地点にもまだ先がある、という感覚を持ち続けられるかどうかは、経験を積んだ人ほど問われることかもしれません。

この章句が説くこと

向上心志修養聖人不言の教え

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