言志四録 / 言志耋録 第二十条 悔・激・懼は善の幾
悔字。激字。懼字。非好字面。然以一志率之。則皆爲善之幾也。可不自省乎。
新字:悔字。激字。懼字。非好字面。然以一志率之。則皆為善之幾也。可不自省乎。
書き下し
悔の字、激の字、懼の字は、好字面に非ず。然れども一志を以て之を率ゐれば、則ち皆善を為すの幾なり。自ら省みざるべけんや。
現代語訳
「悔いる」「激する」「懼れる」という字は、よい字づらではない。しかし一つの志によってこれらを導けば、みな善をなすきっかけとなる。自ら省みないでよいだろうか。
解説
後悔、激情、恐れは、ふつうは避けたい感情です。しかし一斎は、それらも志によって導けば、善に向かうきっかけ(幾)になると言います。悔いは改める力に、激しさは奮い立つ力に、恐れは慎む力に変わりうる。感情そのものを消そうとするのではなく、志という舵によって向きを変えるという考え方です。ここから耋録は数条にわたって立志を論じていきます。仕事で失敗して悔やむとき、理不尽に憤るとき、先行きを恐れるとき、その感情を何に向けるかは自分で選べる。負の感情を持つことを責めるのでなく、その使い道を考えさせる一条です。
この章句が説くこと
立志悔い感情善の幾自省
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