孫子 / 謀攻篇
將不勝其忿而蟻附之,殺士卒三分之一,而城不拔者,此攻之災也。
新字:将不勝其忿而蟻附之,殺士卒三分之一,而城不抜者,此攻之災也。
書き下し
将その忿に勝えずしてこれに蟻附すれば、士卒の三分の一を殺し、城抜けざる者、此れ攻の災なり。
現代語訳
怒りに任せて城攻めをすれば大損害を出し、落とせないのは災厄である。
解説
謀攻篇で、感情に任せた無謀な攻めの悲惨さを描いた一節です。将軍が怒りを抑えきれず、兵を蟻のように城壁に取りつかせて力攻めすれば、兵の三分の一を失ってもなお城は落ちない——これこそ攻撃の災いだ、と孫子は言います。焦りや怒りで無理に突撃させることが、いかに甚大な損害を生むかへの警告です。仕事でも、感情的になって無理押しをすれば、大きな犠牲を払いながら成果は得られない、という事態が起こります。うまくいかない焦りから、勝算のない力攻めに人と資源を投じてしまう。だからこそ、決断は怒りや意地ではなく、冷静な勝算にもとづくべきです。感情で兵を損なう愚を避ける——リーダーの自制心が、組織を無用な損失から守ります。
この章句が説くこと
感情失敗攻城
関連する章句
-
孟子・公孫丑章句下燕人畔く。王曰く、「吾甚だ孟子に慚づ。」陳賈曰く、「王患うること無かれ。王自ら以て周公と孰れか仁且つ智なりと為すか。」王曰く、「惡。是れ何の言ぞや。」曰く、「周公、管叔をして殷を監せしむ。管叔、殷を以て畔く。知りて之を使むれば、是れ不仁なり。知らずして之を使むれば、是れ不智なり。仁智は周公も未だ之れ盡くさざるなり。而るを況んや王に於いてをや。賈請う、見て之を解かん。」孟子を見て、問いて曰く、「周公は何人ぞや。」曰く、「古の聖人なり。」曰く、「管叔をして殷を監せしめしに、管叔、殷を以て畔く。諸れ有りや。」曰く、「然り。」曰く、「周公は其れ將に畔かんとするを知りて之に使むるか。」曰く、「知らざるなり。」「然らば則ち聖人すら且つ過つこと有るか。」曰く、「周公は弟なり。管叔は兄なり。周公の過つも、亦た宜ならずや。且つ古の君子は、過てば則ち之を改む。今の君子は、過てば則ち之に順う。古の君子は、其の過つや、日月の食するが如し。民皆之を見る。其の更むるに及んでや、民皆之を仰ぐ。今の君子は、豈に徒に之に順うのみならんや。又從って之が辭を為す。」
-
論語・衛霊公篇子曰く、吾嘗て終日食らわず、終夜寝ねず、以て思う。益無し。学ぶに如かざるなり。
-
論語・雍也篇子、仲弓を謂いて曰く、「犁牛の子、騂くして且つ角あらば、用うること勿からんと欲すと雖も、山川其れ諸を舎てんや。」
-
孫子・謀攻篇城を攻むるの法は、已むを得ざる為なり。
-
孫子・謀攻篇櫓轒轀を修め、器械を具うるに、三月にして後に成る。距闉するに、又三月にして後に已む。
-
論語・為政篇子夏孝を問う。子曰く、「色難し。事有れば弟子其の労に服し、酒食有れば先生に饌(まかな)う。曾て是を以て孝と為さんや。」