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言志四録 / 言志晩録 第二百九十条 死生は直ちに眼前に在り

斟海水於器。飜器水於海。死生直在眼前。

新字:斟海水於器。翻器水於海。死生直在眼前。

書き下し

海水を器に斟み、器水を海に翻す。死生は直ちに眼前に在り。

現代語訳

海の水を器に汲み、器の水を海にひっくり返して戻す。死と生はまさに目の前にある。

解説

海の水を器に汲めば、それは一つの形をもった「器の水」になります。その水を海に戻せば、形は消えて再び海と一つになる。一斎は、生と死とはまさにこれだと言います。人の生は、天地の大きな気の一部が一つの身体という器にしばらく汲まれたもので、死はそれが元の天地に返っていくことにすぎない、というわけです。宋学の気の思想に基づく死生観を、誰もが目に浮かべられる比喩で示した、短くも鮮やかな一条です。水そのものは何も失われていないという点に、死への恐れを和らげる意図がうかがえます。自分の役割や立場もいわば一時の器であり、それが終わっても元の大きな流れに還るだけだと考えると、執着を手放す助けになるかもしれません。

この章句が説くこと

死生観気比喩執着

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