言志四録 / 言志晩録 第二百六十九条 医人を知りて自ら托す
事親者。宜知醫人之良否以托之。至親歿之後。己軀亦匪輕。宜亦知醫人以自托。若己劣涉醫事。知醫方。卻怕或自誤。可愼。
新字:事親者。宜知医人之良否以托之。至親歿之後。己躯亦匪軽。宜亦知医人以自托。若己劣渉医事。知医方。却怕或自誤。可慎。
書き下し
親に事ふる者は、宜しく医人の良否を知りて以て之に托すべし。親歿するの後に至りても、己が軀も亦軽きに匪ず。宜しく亦医人を知りて以て自ら托すべし。若し己劣かに医事に渉り、医方を知らば、却って或いは自ら誤らんことを怕る。慎むべし。
現代語訳
親に仕える者は、医者の良し悪しを見分けて親を託すべきである。親が亡くなった後も、自分の身もまた軽いものではない。やはり医者を見分けて自分の身を託すべきである。もし自分がわずかばかり医学に通じ、処方を知っていると、かえって自分で判断を誤ることがあるのを恐れる。慎むべきである。
解説
ここから数条、医者との付き合い方が続きます。親に仕える者は良い医者を見分けて親を託すべきで、親の没後は親から受けた自分の身も同じく大事にし、良医に託すべきだと一斎は言います。前条の「老いて自ら養ふは孝」の具体的な実践です。興味深いのは後半で、医学を少しかじって処方を知っていると、かえって自分で診断して誤ると警告しています。江戸の儒者には医学を兼ねる者も多く、生半可な知識の危うさを一斎はよく知っていたのでしょう。専門家を選ぶ目を持つことと、自分の中途半端な知識で判断を上書きしないこと。この二つは、医療に限らず専門家に仕事を任せるあらゆる場面に通じます。
この章句が説くこと
医者選び孝養生専門家生兵法
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