言志四録 / 言志晩録 第二百六十八条 孝弟は終身の工夫
孝弟。是終身工夫。老而自養。即是孝。老而讓人。亦是弟。
新字:孝弟。是終身工夫。老而自養。即是孝。老而譲人。亦是弟。
書き下し
孝弟は、是れ終身の工夫なり。老いて自ら養ふは、即ち是れ孝なり。老いて人に譲るも、亦是れ弟なり。
現代語訳
孝と弟は一生続ける修養である。年老いて自分の身を大切に養うことは、すなわち孝である。年老いて人に譲ることも、また弟である。
解説
孝は親に仕えること、弟(悌)は兄や年長者に従うことで、ふつうは若い人の徳とされます。ところが一斎は、孝弟は一生の工夫であり、老いてからも続くと言います。親が亡くなった後も、親から受けた身を大切に養うことが孝であり、年老いて人に道を譲ることも弟の心の表れだという解釈です。『孝経』の「身体髪膚、之を父母に受く。敢へて毀傷せざるは孝の始めなり」を踏まえた考えでしょう。後に続く養生を説く条への橋渡しにもなっています。徳を年齢や役割に固定せず、立場が変わればその形も変わると見る発想は、キャリアの段階ごとに自分の務めを捉え直すときにも参考になります。
この章句が説くこと
孝弟養生譲る終身の工夫
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