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言志四録 / 言志晩録 第二百六十一条 惟だ義は忘るべからず

人抵老境。儘善忘。惟義不可忘。

書き下し

人老境に抵れば、儘く善く忘る。惟だ義は忘るべからず。

現代語訳

人は老境に至ると、何もかもよく忘れるようになる。ただ義だけは忘れてはならない。

解説

老いて物忘れが増えるのは誰にも避けられないことです。一斎はそれを咎めるのではなく、何を忘れても、ただ「義」、つまり人として踏むべき筋道だけは忘れてはならないと言います。細かな記憶が失われても、正しいことを選ぶ心の軸さえ保たれていれば、人としての本分は損なわれないという考えです。孟子が「生も亦我が欲する所、義も亦我が欲する所」と、命より義を重んじたことにも通じます。晩年の一斎が自らに言い聞かせた言葉でもあるでしょう。忙しさや年齢で多くを取りこぼしていくなかで、これだけは手放さないというものを一つ定めておくことの意味を考えさせる一条です。

この章句が説くこと

義老い忘却本分

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